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ビジネスGISとともに40年ZGIのビジネスブログ

2019.10.04

「天気の子」からみる東京の夏の「天気」

新海誠監督最新作「天気の子」。
7月19日に公開された本作の興行収入はすでに120億円を超え、さらに9月27日には4DXの公開が始まりました。令和元年の夏、もっとも注目された映画の一つです。
舞台は観測史上初の異常気象に見舞われ、雨が降りやまぬ新宿。そこで繰り広げられる少年と少女のストーリーがやがて東京全体を巻き込む事態へと発展していく…。
作中では東京が異常気象に見舞われ、さらに悪化していく描写がありますが、近年頻発する集中豪雨や、突然訪れる局地的大雨(ゲリラ豪雨)を考えると、決して物語の中だけの話ではないかもしれません。東京の夏がより暑く、より不安定になっている近年、「異常」が異常でなくなってしまう日も近いのではないでしょうか。

降水量と気温の変化

気象についての統計情報として、最も一般的なものの一つに気象庁のオープンデータがあります。 ここで、過去30年間における東京都の局地的大雨発生件数のデータを見てみましょう。

出典:気象庁:1989年~2017年降水量データ
(観測所:東京、江戸川臨海、羽田、練馬、世田谷、府中、青梅、八王子、小沢、小河内)

多い年、少ない年に差はありますが、平均より10回以上発生している年もあります。 もちろん、台風などによる影響も含まれてはいますが、局地的大雨は都市型水害のリスクを高める点からみても、増加傾向にあることはよいこととは言えないでしょう。

次に、7月の最高気温の変化を見てみましょう。 グラフを見ると、気温の高い年と低い年を繰り返していますが、全体を通して徐々に上昇していることがわかります。

出典:気象庁:1989年~2017年の7月気温データ(観測所;東京)

過去30年間で平均気温は約2度上昇しています。 近年、猛暑の影響による熱中症の恐れからプールの授業が中止となったり、連日熱中症で救急搬送されるニュースを耳にします。気象庁の発表によると日本全体の7月平均気温は100年に1.1度上昇しており、東京が驚異的なペースであることが分かります。

気温と都市度の相関性

気象庁が発表しているデータの中には、気温、降水量、日照時間などがありますが、ここでは気温に注目してGISに取り込み、地理的要素との相関性をみていきます。

出典:国土交通省国土政策局「国土数値情報〈H24平年値(気候)データ〉」をもとにZGIが編集・加工

最高気温は太平洋沿岸では比較的気温が低く、内陸ほど気温が上がっている一方、平均気温は千葉市や三浦半島など東京湾沿岸地域も気温が高いことがわかります。
一般的に郊外や農村地に比べ、都市は暑い印象がありますね。これはエアコンなどの排熱量が多いことや、コンクリートの照返し・蓄熱が理由として挙げられるでしょう。

出典:H22国勢調査-H21経済センサス等リンク地域メッシュ統計昼間人口

ここで都市度を地図に示すため、「昼間人口(ちゅうかんじんこう)」に注目してみます。
昼間人口とは、常人人口(そこに住む人)に他地域から通勤・通学してくる人口を足し、さらに他地域へ通勤・通学する人口を引いたもので、字のとおり日中にそのエリアにいる人口のことです。
先ほどの2つの地図と見比べてみると、最高気温は海風や山脈など地形の影響を受けているように見える一方、平均気温は日中の人口集中度合い≒都市度の影響がうかがえます。

都市密度と気温の相関性

さらに「都市度」に注目し、先程の分析で平均気温、最高気温ともに非常に高い数値を示した東京23区に絞り、「都市の密度」という観点から分析をしてみましょう。ゼンリンの住宅地図をもとに建物一軒一軒の情報を収録した「建物ポイントデータ」から、「延床面積」を使用します。高層ビルが立ち並ぶ東京ですから、建物の延床面積が大きいほど都市密度が高いといえるでしょう。

出典:建物ポイントデータ

出典:国土交通省国土政策局「国土数値情報〈H24平年値(気候)データ〉」をもとにZGIが編集・加工

延床面積の図では高層ビルの立ち並ぶ千代田区、港区、中央区は密度が高く、一方で住宅地が並ぶ練馬区や足立区などは密度の低さがみてとれます。
平均気温の図では、23区内でも特に暑い地域と比較的気温が低い地域が分かるようになりました。
湾岸エリアや海から近い江戸川区は都内でも比較的気温が低く、一方で内陸部でも特に渋谷区、千代田区から北へ向かって気温の高いエリアが伸びているのがわかります。

では、都市度と気温に相関性があるか、二つの指標を使いオーバーレイで見てみましょう。

湾岸地域などの気温も密度も低い地域と、都心部の気温も密度も高い地域の位置関係から、東京23区においては広い範囲で都市度と気温に相関性を見ることができました。都市度の影響が東京の夏の厳しさに拍車をかけているともいえる結果となりました。

ゲリラ豪雨が夏の風物詩として定着しつつあり、連日熱中症による救急搬送をニュースで耳にする「東京の夏」。あと1年を切った東京オリンピックへ向け、ラストスパートをかけて日々姿を変える東京。
2020年、世界から注目を浴びる「東京の夏」はどのような夏になるのでしょうか。願わくば、酷暑ではなくオリンピックの熱狂による熱い夏となることを望みます。

<今回の記事で使用したデータ>
H22国勢調査-H21経済センサス等リンク地域メッシュ統計昼間人口
建物ポイントデータ

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